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ブルドーザーのような男: そんな評判のお陰で、イスラエル首相シャロンは現代世界史の表舞台から身を引いたとしても、当分の間は、生き長らえることができるだろう。彼のホロスコープからは、重要なポジションさえ与えられれば、彼は世界を震撼させるようなことをするだろうことが読み取れる。実際、彼はそのようなことを行ってきたし、いま現在、そのようなことを行おうとしている。が、将来においてそれを行うチャンスはもう訪れない。
シャロンの強みは、アラブに並ぶものがないほど強力なイスラエル軍と、ワシントンの強力なロビストたちである。彼の悪口を言うのは、反米主義の風潮が強いヨーロッパでアメリカを現代の帝国主義と見なしている左翼だけである。
しかし、シャロンもまた、ベンジャミン・ナタネヤフと同様、ヨーロッパの列強がなにを言おうと意に介さないだろう。かつて反ユダヤ主義がヨーロッパで猛威を振るってヒトラーのホロコーストを招いたとき、ヨーロッパの列強はことごとく口を結んでいたという苦い記憶があるからだ。シャロンは強いし、世界の反対をものともせずに、無慈悲な行動を確信をもって全力で貫徹するだろう。
彼の無慈悲なところは、特徴のある3室から来ている。3室では、5室の支配星である月が高揚し、ラーフとコンジャンクトして、土星にアスペクトされている。3室の支配星である金星は、火星とコンジャンクトし、やはり土星にアスペクトされている。土星は、5室と9室の支配星を同時に傷つけており、そのお陰でシャロンには、広く知られるように権力を濫用する傾向が備わっている。1957年と1973年、および1982年、シャロンは、イスラエルを葬り去ろうと考えているレバノン人やパレスティナ人を含むアラブ人の虐殺を指揮した。
シャロンのダシャーを見れば、彼の攻撃性は若い時から形成されていたことがわかる。3室の支配星である金星と11室でコンジャンクとする、高揚した火星期(1941年5月から1948年5月)、彼はまだ10代だったが、アラブ人と戦うためにナイフを携帯し、当時の英国支配下で禁止されていた拳銃を干草の中に隠し持っていた。
彼の次のダシャーはラーフ期だが、ラーフは3室に在住して火星にアスペクトされ、有能な将軍としての片鱗を覗かせている。当時の彼は、敵の要塞に進んで突撃するような勇猛果敢な戦士だった。そして1954年、まさにラーフ/土星期のとき、彼は度重なる武勇の結果、とうとう傷を負った。
1962年、ラーフ/金星期あるいはラーフ/太陽期のとき、彼の最初の妻メガリットが交通事故で亡くなった。彼はこの悲しみを冷静に乗り越えることができたが、5年後の木星/木星期、息子が銃の暴発で亡くなったとき、今度はその悲しみを強い心で乗り切った。そして二人目の妻リリィーも、2000年に亡くなった。おそらく死因は癌であった。
しかしシャロンにとって本当に立ち向かい乗り越えなければならない悲劇は、イスラエルである。イスラエルは、建国して54年になるが、外交的にその存在を一切認めようとしないアラブ諸国に囲まれている。しかしシャロンには、意のままに動くイスラエル軍と有能な戦士、そして世界で類を見ない情報機関モサドがついている。イスラエルの存在を脅かすテロリストを一掃し尽くすだけの手段を手中に収めているのである。しかしそれはシャロンにとっての戦略であると同時に悲劇でもあり、栄光であると同時に不名誉でもある。
よりいっそう大きな悲劇は、一極世界における唯一最大の列強アメリカによる強力な支援にもかかわらず、アラブ諸国がイスラエルを葬り去ることは可能だと考えていることだ。つまり、もともと無理のある2つの立場が衝突し、その結果、西アジアのすべての問題が惹起され、そしてついには原油を盾に、アメリカを初めとする西側諸国の経済が麻痺するかも知れないということなのだ。しかし、それはアラブにとって自殺行為に等しいということは言うまでもない。なぜなら、原油なしでは、彼らの経済が立ち行かなくなり、生きていけなくなるからだ。
2002年現在、シャロンが平和を望みながらも、必要以上に多くの戦争を起こしているという印象を全世界が抱いている。オサマ・ビン・ラディンによって、世界は目覚め、自国のイデオロギーや宗教原理主義を賛美するようになり、過去の歴史を思い出し、そして決定的な衝突に立ち至ったという点で、ラディンは2001年の顔であろう。とするならば、シャロンは今年(2002年)の顔であることは間違いない。
平和という幻想を追い求め、数ヶ月のうちにこの地に平和を叶えようとする努力の中で、イスラエル寄りのブッシュ大統領とサウジのアブドラ皇太子は果たしてどのような役割を演じるのか?
現時点ではっきりしていることは、国際政治の圧力と高齢問題から、アラファトとシャロンがいずれも表舞台から消え去ることだ。そしてその一方で、パレスチナ国家が形成されるであろうことだ。
当初は、1982年の虐殺事件のイメージが強いシャロンはまもなく失脚し返り咲くことはないだろうと考えられていた。しかしちょうど土星/木星期(木星は10室の支配星)が訪れて、イスラエルの首相になってしまった。
次は、12室に太陽と在住する逆行水星の時期(土星/水星期)が訪れている。水星は7室の支配星だ。他の政治的リーダーのように、シャロンはパレスチナの自爆テロリストたちに対して、狂乱的ともいえる武力報復に駆り立てられている。
一般に政治リーダーたちの場合も、社会占星術と同様に、7室の支配星がマハーダシャーやアンタラダシャーが巡るとき、戦争や戦争に近い狂乱状態が現出する。
天秤座にアセンダントのあるヒトラーは、火星期に第2次世界大戦の準備を行っていた。蟹座にアセンダントのあるネルー首相がラーフ/土星期のとき、インドは中国と戦争した。射手座アセンダントのラル・マハドゥール・シャストリが水星期のとき、印パ戦争が勃発した。蟹座アセンダントのインディラ・ガンディーが土星期のとき、1971年の有名な戦争が始まった。
シャロンは現在、7室を支配する水星の時期にある。この時期は、彼にとって二重の意味がある。戦争を惹き起こした時期であると同時に、シャロンが世界から身を引くことになるであろう時期でもある。2003年以降の水星/ケートゥ期に、彼は失脚することになるだろう。
シャロンの宣誓式のチャートを見れば、彼がまさに時宜にかなった、この時期に宣誓するにふさわしい人物であり、そしてすべてはすでに決まっていたことがよく理解できる。宣誓式のチャートには、7室に土星と木星が在住して火星にアスペクトされている。土星と木星のコンビネーションは、まさに彼が、54年に及ぶイスラエルの現状を変えようと考えていることを如実に表わしている。
シャロンは、かつてのヒトラーやスターリン、あるいは他の多くの政治家たちがそうであったように、意思を貫徹すれば歴史が変わり、世界を彼の思い通りにすることができると考えている。そして彼にはそれを実行するための強い意思とイスラエルの支持者がいる。アラブ人に言わせれば、イスラエルにとってアメリカは同士であり、永遠の支持者なのだ。
宣誓式のチャートの7室に土星と木星が在住しているということは、彼が西アジアの歴史を変革するという意味合いがある。長い目で見れば、この変革によって、パレスチナ国家の建国が現実のものとなり、一方、イスラエルが宿敵アラブ諸国によって受入れられなければならない。
しかしこの変革によって、イスラム原理主義の本質が変わるかどうかは別問題である。イスラム原理主義には、異教徒との妥協を許さない思想があり、この思想はムッラー(イスラムの法律学者)が仕切る、全世界のムスリム社会において、最も広く受入れられている。「ジハド(聖戦)」の細かな意味合いは別として、世界は「ジハド」を、世界をイスラムに転向させるというイスラムの強固な決意として理解している。
平均的なイスラム人にとって、ダルールイスラム(イスラム教徒が占める世界)とダルールハラブ(少数派のイスラム教徒が異教徒を転向させるか根絶やしにしなければいけない世界)の違いは永遠かつ絶対である。彼らにとって、コーランのみがすべてであり、予言者はただ一人で、それはアッラーのみであり、アッラーのみが果報として人を天国へ召すことができるのである。したがって彼らにとって異教徒の世界は破壊されなければならないし、全世界がイスラム化されなければならないのである。
一方、西側諸国には、それとは異なる価値観がある。それを文明と呼んでもよい(しかしマハトマ・ガンジーは、真の文明はまだ西側諸国には到達していないと言っていた)。その価値観が、イスラムの価値観と真っ向からぶつかっているのである。この衝突において、シャロンは重要な役割を果たしており、それゆえに、アメリカは彼を支持しているのである。
しかしこれは、ハンチントンが言う「文明の衝突」ではない。急速に広がるイスラム文化圏と、西側諸国に蔓延する肉欲と拝金主義に根ざした快楽主義との衝突なのである。それゆえに、問題が複雑なのだ。
シャロンは、ブッシュが掲げる「テロとの戦い」のスローガンにピッタリとはまっている。テロリズムは、すなわち西側の快楽主義への攻撃に他ならないからだ。シャロンはまた、ブッシュが唱える「悪の枢軸」との戦いにも適任だ。悪の枢軸とは、グローバリズム化が進んだ今日においては、アメリカ本土でのテロのみを指すのではない。
だから、水星/水星期のシャロンは、旧約聖書に書かれていたことが成就したんだとユダヤ人が納得するまで、彼に割り振られた運命の大役を演じなければならない。
ブッシュやアメリカのキリスト教徒の多くは、旧約聖書の予言を必ずしも信じていないかもしれない。しかし彼らは、ユダヤ人が予言を信じてその実現のために武装し、しかも西側諸国への原油供給を絶つことなく、「悪の枢軸」といわれている敵と戦う場面を目撃することになるだろう。
原油と同じく、戦争も、すべてアメリカがシャロンを使って欲しているものなのである。
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